渡部昇一『渡部昇一の「日本語のこころ」』

2003年12月12日 発行所 ワック株式会社 ISBN:4898315194


新版まえがき
序章 日本語の核心にあるもの
  ─「祝日の歌」と大和言葉
 四大節の歌と日本語
 一月一日と紀元節の歌
 天長節明治節の歌と国歌
 核心部にある大和言葉

第1章 大和言葉こそ日本語の源
  ─外来語の漢語と何が違うか
 大和言葉とは何か
 漢語主体の歌の心情
 大和言葉主体の歌の心情
 外来語が外来思想を運ぶ
 魂のふるさととしての大和言葉
 名句は大和言葉から成る
 大和言葉の世界と漢語の世界
 漢語を用いる効用
 片かな外来語の異化効果
 蕪村・芭蕉円朝大和言葉
 茂吉のグレイトネスの淵源
 「新しい皮袋」説の浅薄
 現代俳句は外来の語彙から腐る
 山頭火の国民詩人たる由縁
第2章 和歌の前に貧富貴賤女卑なし
  ─万葉集の思想と大和魂の本質
 「和歌の前に平等」の原理
 和歌三神のバランス
 和歌の前では性差別も消滅
 和歌の起源と古代日本人の言語意識
 皇子と火焼老人の交歓
 神武天皇の歌と言霊の思想
 大和魂の本源は求婚歌だ
 男女の愛で国がはじまる
 言葉自体に霊力がある国
 「言挙げせぬ国」の起源
 「伝達の手段」を超えるもの
 なぜ表現が短縮されるか
 舒明天皇シェイクスピアの違いの根源
第3章 文化大輸入時代の和歌と言霊観
  ─尚古にして発展の真髄
 重要なのは万葉集古今集の連続性
 外国文化輸入の例、鴎外と茂吉
 漢語漢籍流入時代の古今集の意義
 大和言葉の普遍性
 古今集序文、平安朝日本人のこころばえ
 「鬼神をもあはれと思はせ」る言霊
 注目すべきは尚古にして発展の相
 なぜ帰化人・王仁が「歌の父」か
 侍女が「歌の母」となった平等感覚
 名歌となる条件とは何か
 「和歌の徳」という観念の広がり
 昇進を助けた和歌の徳
 貫之に引き継がれた言霊信仰
 「鬼神」や「天地」を動かす
 頼朝が焼き付けた「和歌の徳」
 「古今伝授」と細川幽斎のドラマ
 壬生忠岑の言霊的伝説
 縁起かつぎの原型
 曾根好忠に見る「差別と平等」
 和歌における革新とは何か
第4章 漢語混入で変わった日本語の原理
  ─外来語受容にみる英・独・仏語との比較
 源氏物語の特殊な難解さとは
 ノーマン・コンクェストの甚大な影響
 ゲルマン語とラテン語はいかに混合したか
 外来語混淆のパタン
 英文学史と日本文学史の相似性
 難解さの主因は語彙の代替
 古英語と同質、大和言葉の根の張り方
 漢語の混入で日本語の原理が変わった
 フィヒテの「生ける言語」と「死せる言語」
 国語の感性的部分と超感性的部分
 言語の前の不平等
 カントの哲学用語は難解か
 何が知的英文と感性的英文を分けるか
 海を謳う詩の言語
 スチーブンソンと三島由紀夫の辞世
 余論/海の記憶・日本人とゲルマン人
第5章 精神的資産としての日本語 拓
 ─国語教育と外国語教育の役割
 桜に感動する日本人
 母国語の蓄積効果
 国語は世界観である
 「精神的私有財産」としての近親関係語
 日本語のタテ糸を追放した国語教育
 「精神的私有財産」の継承を
 外国語教育は知性の練磨である
 外国語教育と国語教育の真の意義
 装幀/加藤俊二(プラス・アルファ)