谷沢永一『雉子も鳴かずば』
集英社 1984.11.10 ISBN:4087725022
宝物展示室案内人 小堀桂一郎『鴎外選集』(岩波書店)「解説」
因果話是非 山口瞳『血族』(文藝春秋)
お子様ランチ舞台に乗る 木下順二『子午線の祀り』(河出書房新社)
耄碌予防策 中野重治『沓掛筆記』(河出書房新社)
明治枯れすすき 猪野謙二『明治文学史』
共同体幻想 饗庭孝男『批評と表現―近代日本文学の「私」―』(文藝春秋)
瀘過器を通して 山本健吉『詩の自覚の歴史』(筑摩書房)
文壇守衛長 小田切進編『大波小波・匿名批評にみる昭和文学史』全四巻(東京新聞出版局)
当て込み思わせ振り深刻作文 安岡章太郎『放屁抄』(岩波書店)
キャンパス特産フレーズ総括 大江健三郎『同時代ゲーム』(新潮社)
作家の指導者を夢みる学者 菊地昌典『歴史小説とは何か』(筑摩書房)
複写万能時代の省エネ論法 鶴見俊輔『太夫才蔵伝』(平凡社選書)
自己弁明の為の小説読法 『小田実 小説世界を歩く』(河出書房新社)
文学史を口実の千社札 加藤周一『日本文学史序説下』(筑摩書房)
黄禍論便乗ノーベル賞志願 遠藤周作『侍』(新潮社)
辞書と聖典に下駄を預けて 大江健三郎『方法を読む』(講談社)
文学評価の統一願望 『片岡良一著作集』第十一巻(中央公論社)
文学論的厚化粧の煽動戦術 吉本隆明『悲劇の解読』(筑摩書房)
安保で時間の流れが停まった 『桑原武夫集』6(岩波書店)
小説を型紙に時代を裁断 中村光夫『近代の文学と文学者』(新版二分冊朝日選書)
評論家の憤激を光背に活用 倉橋由美子『城の中の城』(新潮社)
自立連帯やさしさ国民読本 日高六郎『戦後思想を考える』(岩波新書)
修辞学で煮しめた解説常套評語 野口武彦『小説の日本語』(中央公論社)
隅から隅まで御機嫌伺い 埴谷雄高『天頂と潮汐』(未来社)
「私らしい感じ方」にお手を拝借 山口瞳『卑怯者の弁』(新潮社)
自我像の五百羅漢を居ながらに 佐伯彰一『近代日本の自伝』(講談社)
最中の餡と皮をセットに 『竹内好全集』第七巻(筑摩書房)
四頁分コピーするだけで永代お守り札 川村二郎『語り物の宇宙』(講談社)
古典語法を粉砕するヘルメット爺さん 山本健吉『いのちとかたち』(新潮社)
我が仏尊しの堂々巡り 小林秀雄『本居宣長補記』(新潮社)
現代作家を済度する宏大な御慈悲 吉本隆明『空虚としての主題』(福武書店)
迷惑なリトマス試験紙の提示 中村幸彦『近世的表現』(『中村幸彦著述集』第二巻・中央公論社)
解った振りする衒い読者への媚態 伊藤整『小説の方法』(新潮文庫)、大江健三郎『「雨の木《レインツリー》」を聴く女たち』(新潮社)
版元に替って推薦文を案出する読書力 中村真一郎『本を読む』(新潮社)
文脈を度外視する文字面の独断 中村光夫『小説とはなにか』(福武書店)
創造方法の空虚を充墳し得た凱歌 野間宏『新しい時代の文学』(岩波書店)
箍の緩んだ職人芸の空転と逆効果 井伏鱒二『荻窪風土記』(新潮社)
久米の仙人が下界で上機嫌に暮す法 埴谷雄高対話集『微塵と出現』(未来社)
引用文と感嘆符の貼り雑ぜに堕ちた評論 飯島耕一『永井荷風論』(中央公論社)
本筋と核心から逸脱する回避の遁走 前田愛『都市空間のなかの文学』(筑摩書房)
後記
装丁 平野甲賀