廣末保『四谷怪談 悪意と笑い』

岩波新書 264
1984年5月21日 第1刷発行
(大判 ISBN:4000091387


崩壊期の精神──まえがきにかえて
 精神史の地平に
 崩壊期のエネルギー
 かぶく精神
I 猥雑・滑稽・グロテスク
一 越境する空間
 婚礼と葬礼
 グロテスクな哄笑
 卒塔婆と鯰の出会い
二 拡散的な序幕の構図
 浅草寺境内という場所
 俗界と聖域
 木兎のイメージ
 按摩宅悦の登場
三 悪と色好み
 伊右衛門の悪
 非人と悪
 敵討ちと色好み
四 地獄宿の喜劇と愁嘆
 南北の遊び
 ナンセンスな笑い
 愁嘆・滑稽・落差感
五 悪の絵模様
 二つの殺し
 笑う悪の笑い
 猥雑をかかえ込んだ悪

II 顔にかかれたドラマ
一 幽霊の不幸な物語
 夢の場
 南瓜とお化け
 幽霊とお化けの合成
 不運な幽霊・檜垣
 おかしな幽霊問答
 善悪をこえた悪
二 女形と悪の美
 毒婦型・悪婆型
 古典的な女形
 多義化する役者の肉体
 桜姫と清玄の幽霊
 戯画化された幽霊
三 お岩の変身
 伊右衛門浪宅
 悪の魅力
 生きながらの変身
 鉄漿つけ・髪梳き
 赤子の泣き声
 木兎とお大とお岩
四 被害者から加害者へ
 お化け屋敷の出現
 お岩と小平
五 悪め競演
 死霊の川
 敵対と連帯
 戸板返し
 加害的な悪の競い合い
六 恐怖と笑いの背中あわせ
 〈だんまり〉と魚籃の顔
 形身の櫛
 盥から出る手
 亡霊を使った笑劇
伊右衛門は死んだか──結びにかえて