今田洋三『江戸の禁書』江戸選書 6

昭和五十六年十二月三十日
吉川弘文館
ISBN:4642070966


禁書目録
  禁書とは
    本書が扱う範囲
    禁書の種類
    禁書『古状揃』はまちがい
    享保七年の出版条目
  禁書の目録
    「国禁耶蘇書」
    耶蘇書の検閲
    書本の禁書
    絶版の書物
    本書のねらい
文耕獄門
  榑正町の夜講釈
    小間物屋文蔵宅
    百姓一揆の口演
    酒色にふける将軍
    かぼちゃの獄門首
    心中の覚悟
  金森騒動記『森の雫
    財政難の金森家と重税のおしつけ
    強訴おこる
    石徹白騒動
    金森家、雫のごとく落ちる
    『森の雫』を求めて
    一揆を応援する町民
    見懲しめの処刑
    貸本屋の暗躍
  文耕の実像は?
    文耕素生の謎
    文耕の自己紹介
    文耕作品目録
    文耕の協力者たち
    骨が原の別れ
    公界に躍る恨みの刃
出版取締り令と禁書
  出版取締りのはじまり
    最初の出版統制令と出版界
    幕藩創業回顧録の盛行
    寛文の出版統制令
    『日本人物史』筆禍事件
  天和の統制令と筆禍
     書物統制の高札
    「越後騒動記」で八丈遠島
  貞享の統制令
    『服忌令』出版で処罰
    小歌・流行ごと出版の禁止
    変事小冊子の大流行
    お七読売の流行
    流言は走る
    流言は庶民の世直り願望
  流言情報への恐れ
    綱吉の強権政治
    権力貫徹の政策
    天に口なし人をしていわしむる
    「無根の浮説」
     弾圧
    『百人男』筆禍事件
    「馬のもの言」事件
    『鹿の巻筆』の筆禍
    非合法パンフレット出まわる?
市民的文化活動の盛り上がり
英一蝶をめぐって
  人気の画家英一蝶
    一蝶は禁書を出版したか
    馬場文耕の一蝶伝
    謀略にかかった一蝶
    鳶魚のタネ本
    『百人男』筆禍の真相
    吉原の浮世遊び
    京山のまとめた一蝶略伝
    一蝶、自らを語る
    一蝶の「実と悲しび」
    一蝶精神の継承
其角と近松門左衛門
  厳しい江戸の言論統制
    近松の手紙
    赤穂浪士劇の禁止
    禁令無視の近松
    劇中で綱吉・吉保を殺す
    劇化された吉宗
    近松もついに筆禍
際物流行
  浮世咄の心中物
    世話物流行
    哀しき女敵討『堀河波鼓』
    『鑓の権三重帷子』
    姦通劇で時勢批判
    淀屋辰五郎哀話
書本秘書の流行
  江戸市民の政治批判
    新金山大銭寺の縁起
    大佞人柳沢・荻原
    裁かれる綱吉
  地獄落しの刑
    綱吉をめぐる雑説
    殺された綱吉
享保の出版統制
  享保五年、弾圧のはじまり
    『太平義臣伝』 統制の裏をかく
    片島武矩の素生
  吉宗と大岡による統制策立案
    浄瑠璃本は制外品
    享保の差別政策強化
    書本禁書の事例
    家元制度と禁書
偽書の時代
  『旧事大成経』の出現
    禁書の筆頭
    二つの『先代旧事本紀
  作られた神話
    畏ルベキ豪才強魄
    『旧事大成経』序文
    『日本書紀』に書かれた伊勢神宮
    偽作された伊雑宮の起源
    聖徳太子憲法は五つあった
    儒仏神三教一致の教え
  伊雑宮の謀略
    『旧事大成経』偽作の目的
    伊雑宮の歴史
    神領回復運動
    『旧事大成経』の研究
    偽作者永野采女
    神庫秘匿の古典
    偽作者潮音
  偽書の流行
    疑われる神道
    系図作りの活動
    偽作者須磨不音
    偽作者沢田源内
    沢田源内の正体
    源内偽作の書物
    信奉された偽書の思想
    思想家としての沢田源内
    徳川こそ系図詐称
    偽書横行の時代
あとがき