小沢昭一『私のための芸能野史』新潮文庫
I 万歳 (平松佐一、平松佐吉)
おめでとうさまと祝いこみまつる。ヤレ御万歳とお家も栄えて、水も若やぐ木の芽も咲いて御繁昌II 足芸師 (上田長吉)
ほんとの親はわからんのです。気がついた時はもう、鉄割の一座の小屋の中に居たんだからIII 女相撲 上
花が蝶々か マタ蝶々が花か エ! 来てはちらちらオッコサット迷わせる イッチャナァ イッチャナァIV 女相撲 下
祝儀が沢山あったもんで銭に困ったようなことは一ペンもないワ。金紗や大島を着てぜいたくしたワV 浪花節 (広沢瓢右ヱ門)
売れてる時はええですけど、売れなくなって酒飲んでたら相手にするもんなし、医者にもかからず野垂れ死VI 説教・絵解
アレ女房があの通り 若い男と湯の町歩いとるワ、アーアーくやしやなと思う途端、無間地獄へダダ走りじゃVII トクダシ上
ニコリと笑って、目を伏せて、「真剣にやれば、濡れるのは当り前です」その真剣の水も今日は末期の水VIII トクダシ下
ハイ、腹の立つような客は、その客、興奮さしてあげます。そういう客の息を止めますIX 東京の大道芸人窟 上
雲右ヱ門のおやじの繁吉が流れてきていた。ありゃ祭文語りだ。カッポレの梅坊主は市兵衛長屋にいたなァX 東京の大道芸人窟 下
姉はラシャメン、妹は芸者 おやじア万年町でコリャサノサ車ひくサイサイサイXI 漫才
今の浮世は、引っくり返ってまくれ返ってそっくり返ってぶっくら返って、間抜けた浮世に違いがないXII ふたたび万歳
恋の品川女郎衆に袖引かれ、乗りかけお馬の鈴ヶ森、アリャエー、コリャエー 姐さん辻占どうですかァあとがき
新装版に寄せて
解説 中村とうよう