小沢昭一『私のための芸能野史』新潮文庫

ISBN:4101313016

I 万歳 (平松佐一、平松佐吉)
 おめでとうさまと祝いこみまつる。ヤレ御万歳とお家も栄えて、水も若やぐ木の芽も咲いて御繁昌

II 足芸師 (上田長吉)
 ほんとの親はわからんのです。気がついた時はもう、鉄割の一座の小屋の中に居たんだから

III 女相撲 上 
 花が蝶々か マタ蝶々が花か エ! 来てはちらちらオッコサット迷わせる イッチャナァ イッチャナァ

IV 女相撲 下
 祝儀が沢山あったもんで銭に困ったようなことは一ペンもないワ。金紗や大島を着てぜいたくしたワ

V 浪花節 (広沢瓢右ヱ門)
 売れてる時はええですけど、売れなくなって酒飲んでたら相手にするもんなし、医者にもかからず野垂れ死

VI 説教・絵解
 アレ女房があの通り 若い男と湯の町歩いとるワ、アーアーくやしやなと思う途端、無間地獄へダダ走りじゃ

VII トクダシ上
 ニコリと笑って、目を伏せて、「真剣にやれば、濡れるのは当り前です」その真剣の水も今日は末期の水

VIII トクダシ下
 ハイ、腹の立つような客は、その客、興奮さしてあげます。そういう客の息を止めます

IX 東京の大道芸人窟 上
 雲右ヱ門のおやじの繁吉が流れてきていた。ありゃ祭文語りだ。カッポレの梅坊主は市兵衛長屋にいたなァ

X 東京の大道芸人窟 下
  姉はラシャメン、妹は芸者 おやじア万年町でコリャサノサ車ひくサイサイサイ

XI 漫才
 今の浮世は、引っくり返ってまくれ返ってそっくり返ってぶっくら返って、間抜けた浮世に違いがない

XII ふたたび万歳
 恋の品川女郎衆に袖引かれ、乗りかけお馬の鈴ヶ森、アリャエー、コリャエー 姐さん辻占どうですかァ

あとがき

新装版に寄せて

解説 中村とうよう

ASIN:4480420169