森銑三『瓢簟から駒−近世人物百話』彌生書房

1983年6月5日      初版発行
ISBN:4841505474


一 前田利家 名月の夜に交すざれ言
二 大津の宗古 お褒めに預つた簡素な朝茶
三 前田利常 御前で髭を抜く無作法者
四 小堀政一 大名には小さな物好き
五 荒木弥助 脇差に突刺した餅
六 熊谷宅右衛門 阿木来ぬと目にはさやかに
七 熊谷宮内 芸ばかりの人となるな
八 本多重次 馬を乗入れた瓜畑
九 渡部半内 御恩を忘れぬ内に死なむ
一〇 鈴木久三郎 御大切な泉水の鯉
一一 真田幸村 敵を鏖にするはこの時
一二 野里村三右衛門 御厚恩を忘るゝとは何事
一三 池田市郎兵衛 高禄なりとて他家へは仕へず
一四 米村権左衛門 旧主の息女へ尽す実義
一五 岡本宣就 人の急を救ふは義
一六 矢田作十郎 鯉の立物の兜の主
一七 北条氏長 定まれる公事には行くに及ばず
一八 安藤直次 不調法の鷹匠は出されず
一九 河村瑞賢 学問で死ぬ覚悟あるべし
二〇 赤目新兵衛 脇差を帯びた浪人の乞食
二一 井上正利 家を間違へて来た客
二二 天野藤太夫 はき矢に紛れこれなし
二三 那波活所 大名の試し物は唐にも稀
二四 真田大助 佩甲を解かずに切腹
二五 吉見喜右衛門 後になつて出した判物
二六 伊達綱村 試合に負けた鎗術家
二七 須藤太左衛門 相手の侍の口中の臭さ
二八 北条三四郎 焼棄てた証拠の書状
二九 安藤重長 一言よく政事を補ふ
三〇 松平重忠 盆栽の枝を折つた小坊主
三一 渡辺綱貞 医者と病人との公事の裁き
三二 小栗忠政 手討を恐れて改宗は致さず
三三 那波加慶 金銀に針は立て申さず
三四 板倉勝重 不調法の一語をお忘れあるな
三五 久世広之 お膳の椀の中の虫
三六 鈴木石見守 逆心者の顔を見申す
三七 成瀬正成 せめては御命日に死なむ
三八 西村左馬允 相撲を取りて君を投ぐ
三九 主目山忠俊 小身者とても人は人
四〇 中根正成 同じ人を重ねて推挙
四一 酒井忠利 そちは在所の備後
四二 阿部正次 息ある内は城を退かじ
四三 片桐貞昌 火入れには使はぬ銅器
四四 板倉重宗 関東の御いさをしにもなること
四五 栗山大膳 折れた脇差の切先
四六 杉田壱岐守 殿へ上つた諌書
四七 宇野多左衛門 自ら解けた殿の怒
四八 土井利勝  日を経るにつれて増さる智慧
四九 阿部忠秋 喧嘩は両成敗たるべきの一条
五〇 伊達政宗 瓢箪から駒が出ると申す
五一 岡野左門 裂かれた猩々緋の陣羽織
五二 神尾元籌 春日社に宿願あり
五三 大姥 月に両三度のふるまひ
五四 藪内匠 逃げまじき人の盃を戴かむ
五五 井伊直孝 上様を欺き奉るもの
五六 片羽道味 鉄砲を担いだ異風の医者
五七 松平三郎兵衛 海を怖れて止めたるにあらず
五八 青木新兵衛 三千石の蕎麦切に当てられ
五九 吉村又右衛門 良馬三十頭を繋いだ厩
六〇 平岩弥右衛門 会ふことを拒んだ理由
六一 大沢弥兵衛 馬の煩ひに寝ずの看護
六ニ 喜多七太夫 後の世の名人が怖ろし
六三 浦連也 晩年に及んで木石の無心
六四 成瀬正虎 馬にて御渡りあるべし
六五 成瀬正幸 少くて済んだ物入り
六六 細野次雲 名人は身共でおちやる
六七 望月五郎左衛門 切腹して申訣いたすまで
六八 市川翁介 箸の附いてゐない膳
六九 木村権之衛門 またしても御持病の再発
七〇 宮崎一八 供ばかりといふ約束の奴
七一 鈴木与市 文字の吟味はわれらの役
七二 塙了仙 使ひ古しの釣瓶縄の処分
七三 本多忠直 救ひでなくて手廻し
七四 岡尾正恵 端坐して泥塑人の如く
七五 玉造村弥作 食べずに持つて帰る焼飯
七六 平岩源兵衛 お鍋が川へ流れた
七七 大石内蔵助 二人の茶坊主へのかたみ
七八 中川謙叔 硯はお手前の方が近し
七九 寺井玄渓 赤穂義士の背後にあつた義人
八〇 中原休白 一生父の傍らを去らず
八一 結解勘兵衛 焼跡に結跏跌坐した死体
八二 小野次郎右衛門 つまんで引いた毛氈の端
八三 活井旧室 蓮の実のとんだこといふ親父
八四 瀬川路考 火事で立退くのに身じまひ
八五 梶定良 日光廟に四十七年
八六 戸塚久右衛門 己に逆うた罪人の処置
入七 泉八右衛門 兄弟の公事の裁き
八八 国府屋弥右衛門 すべてわが不孝の致すところ
八九 臼田畏斎 天もし受けずば頼むも詮なし
九〇 独笑居士 人を使つて心を苦しめるは愚
九一 生神村久右衛門 海から引上げた金と道具
九二 沢村宗十郎 狂言にても舞台の上の親子
九三 手代荘兵衛 所存あつての思入れ商
九四 乾九兵衛 阿呆のいつた言葉
九五 正覚寺住僧 穀物の御恩を知らぬか
九六 僧卓栄 師匠を島より返されたし
九七 五田村平助 新しい畳の上に老母
九八 僧了玄 発願しての道普請
九九 今宿村介八 母を背負うて伊勢参宮
一〇〇 谷石翁 いつ来て見ても玉襷

  自跋